恋の治療は腕の中で
私は心配で悠文の後を追いかけて行くと部屋の机に両手をついて項垂れてる悠文の姿があった。その前には幾つものフォトスタンドと黄色いダリアが飾られていた。

そこにはそっくりな顔の親子が頬を寄せながら笑っている写真を始め幼稚園の入園式、小学校の入学式や他にも沢山飾られていてこの机を見ただけでどれだけお父さんが二人を思っていたのかが分かる。

「悠文。」


「紗和、お前知ってたのか?」

「ごめんなさい。」

私にはそれしか言うことが出来なかった。
もしかしたら悠文私の事許してくれないかも。

両手を強く握りながら私は下を向いていた。


でも悠文はそんな私に、


「バカだなぁー。

俺には強がるなって言ってるだろう。」


驚いて顔をあげると、悠文の優しい笑顔がそこにあった。

「悠文、怒ってないの?


私のこと嫌いになってないの?」


涙が後から後からこぼれ落ちる。


「あーもー。俺の素敵なフィアンセが涙でひでぇー顔になってるぞ。」


悠文は私を優しく包み込んでくれた。


「さっき言ってくれたよな。俺がいたから1人じゃないって。

俺も今紗和と同じ気持ちだ。お前が居てくれたから俺は今ここにいて親父の本当の気持ちが聞けた。
俺にはやっぱりお前しかいない。」

( 悠文 )


私は悠文を強く抱き締めると悠文も私を強く抱き締めてくれた。


二人で部屋に戻ると麗香さんが心配そうに近付いてきたので私は麗香さんに大丈夫という意味を込めて頷いてから席につく。
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