恋の治療は腕の中で
食事をしながら私は麗香さん達と約束していたあの話しを切り出した。


「ところで、お二人は婚約なさったんですよね?」


「えっ、え~。

そうなのよ。」

初めは少し驚いていた麗香さんだったけど、直ぐに私の意図をくみ取ってくれたのか、笑顔で答えてくれた。


「おめでとうございます。

凄くお似合いのお二人ですよね。」


「そんなことないわよ。
紗和さん達だってとてもお似合いよ。」

いやいや、どうみても私達は不釣り合いだと思いますけど。


「お式とかはもう考えてるんですか?」

グフッ


隣で悠文がワインを吹き出しそうになっていた。


「ええ。来月お式を挙げる予定なの。」


「えー、そうなんですか?

おめでとうございます。どこで挙げられるんですか?」


「グランドハイアット東京のチャペルよ。」


あれっ?なんか聞いたことのある名前なんだけど……?

まっいっか。

「へぇー、麗香さんのウェディングドレス姿きっと素敵でしょうね。
隆文さん。今から楽しみですね?」


突然降られた隆文さんは急にオドオドしながら、


「いや、僕は麗香さんさえ良ければ別に神前でも何でも構わないんだ。」


「えー、麗香さんって隆文さんに愛されてるんですね。」


「うふっ、そう思う?」


「はい、滅茶苦茶そう思います。」


「実はそうなの。」


「ご馳走さまです。」


隣の隆文さんったら顔を赤くしながら(愛してるだなんてそんな。)とかなんとかブツブツ独り言いっちゃって。


「いいなぁー、悠文。麗香さんのウェディングドレス姿見られて。

勿論出席するんでしょ?」


私が悠文の顔を見るとバツの悪そうな悠文が私の事を睨んでいたような気がした。いや、あれは睨んでたな。

「それがね、まだ悠文さんからお返事頂いていないのよ。」

私は大袈裟に


「えー!そうなんですか?もう悠文ったらダメじゃないちゃんと出席に丸してお返事しなきゃ。」



ちょっとわざとらしかったかしら?
でもこれくらいやらなきゃ悠文は返事しそうにないもんね。
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