恋の治療は腕の中で
もうろうとしながら

今、何時だろう?


時計を探そうと身体を動かすと


あれっ?動けない。


何か重たいんだけど、



キャー!!

後ろから抱きしめれて、足をからめるように乗せられてる。


「ちょっと!

藤堂先生! 起きて下さい。」

私の意識がはっきりしてきた。


「うーん。 今、何時?」

ゾクッ

やだ、耳元で話しかけないでよ。

「とりあえず、離れてもらえますか?

じゃないと、時計がみれないんで。」


「じゃあ、いいや。」


イヤイヤ、良くないから。

まだ寝ぼけてるみたい。とにかく起きてもらわないと。


「藤堂先生。 起きてください。」


私は、先生の腕をかるく叩いた。


先生はモゾモゾと動きだした。

やっと起きてくれる。

と思ったら、私の首筋にキスをしてきた。


ゾクゾク

んあっ。

思わず声を漏らしてしまった。

すると、そのまま唇を首筋から顎へと這わせていく藤堂先生。


「ダメっ。」

まだ酔っているのだろうか、嫌なはずなのに抵抗できない。

顎へと這わせた唇は、徐々に私の唇の方へ上がってくる。


私が抵抗して、顔を背けても私の顎をそっと掴みいとも簡単に自分の方へ向けさせてから唇を押し当てた。

ん…ふっ……

最初はただ、触れるだけの口づけが徐々に激しくなり、彼の舌先が私の唇を開かせようとする。
私は唇を強く結び彼の侵入を防いでいたが
彼の指が私の首筋を、ツーとなぞると

あっ。 思わず声を漏らすとそのすきに舌を滑らせてきた。

彼の舌が私の舌に絡んでくると身体の芯が熱を帯びてくる。

私は、息ができなくなり自分の熱で頭がぼーとしてきた。

すると、彼は唇を離した。


はぁ……はぁ……

熱い息を漏らす


ニヤ

右の口角を上げ意地悪そうに笑うと


「キスだけでこんなに感じるんだ。

望月さんもしかしてバージン?」


急に血の気が引いていくのが分かる。

「ば、 あなたに関係ないじゃない。」


「あるさ、 婚約者としては。
キスで感じちゃう奥様じゃこの先大変だな。と思ってね。」


婚約者?一体誰と誰が?


口を開きかけた時

「もう、目が覚めただろ?シャワー浴びてきたら。

とりあえず、今着てる服は洗っておくから乾くまで俺の服で我慢してくれ。」


急に色んなことが起こり私の頭が整理できないので、藤堂先生から逃げるように浴室へ向かった。


部屋を出てリビングに入ると余りの広さに驚いた。

ゆうに30畳はありそうな広いリビングにはソファーにローテーブル、60インチはありそうな大きなテレビが壁に掛けられている。
それにローボードと上にはステレオ。

大きな窓からは東京タワーにスカイツリーまで一望できる。

リビングと繋がってキッチンがあるが、これまた素敵。

カウンターキッチンになっていてその前には6人掛けのダイニングテーブルがおいてある。

広さを際だたせてるのは家具の少なさだ。

本当に必要最低限のものしかない。

まるでモデルルームかと思うようだ。そう、モデルルームみたい。ここには人の温もりのような物が感じられない。


な、なにここ!

確か青山に住んでるって言ってなかった?

それでこの広さって、ドクターってそんなに儲かるの?



お風呂からでると、私の下着から全ての服が無くなっていた。


嘘っ、どうしよう。

洗面台の上には、Tシャツと短パンそれと真新しい男物のボクサーパンツが置いてあった。

まぁ、何も履かないよりはましなので仕方なくそれを履いた。


ブラジャーはさすがにないよね。
< 19 / 163 >

この作品をシェア

pagetop