恋の治療は腕の中で

私のアパートが近づいてくると、大勢の人だかりができていた。


何かあったのかな？


なんて、呑気に構えてると

私のアパートの前に何台もの消防車が

慌ててクルマから降りてアパートに向かうと
警察官に止められた。


「ここから先へは、はいれませんよ。」


「ここ私の家があるんですけど。」


紗和ちゃん！


後ろから大家さんが声をかけてきた。

「何度も電話したのよ。」


えっ、そう言えば携帯見てなかった。

バックから携帯を取り出すと着信が何件も

「すみません。気がつかなくて。」


「いいのよ。

そんなことより、紗和ちゃんのすぐ上の人がボヤだしちゃって。

ほら、斎藤さんって知ってるわよね。前からタバコ吸ってたからきをつけるように言ってたんだけどね。
それで紗和ちゃんの部屋消火するのに水浸しになっちゃったのよ。」


嘘でしょ。

斎藤さんの部屋は見事に丸焦げで私の部屋は、外から見ても部屋の天井から水が滴り落ちてるのがわかった。

呆然と立ち尽くしてると、何処かにクルマを止めてきた悠文が私を支えてくれた。

「彼女の荷物は大丈夫なんでしょうか？」


驚いた顔の大家さんだったけど、

「多分、殆どダメになっちゃったと思うわ。」


「そうですか？

紗和に非はないんですよね？」


「それは、もちろん。


保険に入ってもらってるから、お金の心配はいらないと思うんだけど、当面住むところがね。」


「心配には及びません。婚約者なので、僕の家に連れていきます。」


私が呆然としている間にまたしても話しが進んでいた。