恋の治療は腕の中で
まさかまたこのマンションに戻って来るとは思わなかった。


いっぺんに色んなことが起きてまだ頭の中が整理できない。

「もう遅いからお風呂は、明日の朝入ればいいし、休んだ方がいい。」

確かに、身体が石のように重たい。

私は悠文に寝室まで連れていかれ、

「悪い、着るものこれしかなくて。」


さっきまで着ていた悠文のTシャツに着替えてベッドに潜りこんだ。

身体は怠いのに、頭が冴えて眠れない。

暫くすると、悠文が部屋に入ってきた。

ドキッ

さっき悠文とこのベッドでしたことを思い出した。


私は恥ずかしさのあまり寝たふりをした。


悠文はそっとベッドへ入り、私の頭をそっと持ち上げ自分の腕を滑らせ、私の頭を肩の上に乗せた。

そしてもう片方の腕を背中に回し優しく撫でてくれた。

この感覚。

昨日の夜遠い意識の中にあった感覚だ。

あれは現実だったの?

あれも貴方だったの?

私はいつの間にか本当に眠ってしまった。







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