恋の治療は腕の中で
朝になり、目が覚めるとそこに悠文はいなかった。

なんだか急に不安になり急いでリビングに行くと

「おはよう。

気分はどう?」


悠文が朝食をダイニングに運んでいる所だった。

「おはよう。



これ、悠文が用意したの?」


「あ~。 割りと嫌いじゃないんだよね。


さぁ、座って。」


何となく昨日座った席に腰を下ろす。


朝食は、スクランブルエッグにカリカリベーコン。サラダにトースト。


「いただきます。」


「食べ終わったらシャワー浴びといで。

それから買い物に行こう。」


「買い物?」


「うん。洋服とか下着もちゃんとしたの買わないとだし。

それから、化粧品とか身の回りの物も色々とね。」


「お茶碗とか箸とかも買おう。」


あぁ~そっか、私の部屋水浸しになっちゃったんだ。


「大丈夫?

って、大丈夫じゃないよな。

うん。 でも、少しずつ大丈夫になっていけばいいよ。」


なにそれっ。

ふふっ

片付けをしようとしたら

「いいから、シャワー浴びておいで。」


お言葉に甘えさせてもらった。


こんなに人に甘えさせてもらったの何年ぶりだろう?


温かいシャワーのせい?氷のように冷たい私の心が少しずつ溶けていく。






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