恋の治療は腕の中で
私達は、悠文のクルマで郊外のアウトレットに来た。

悠文が、ここなら一通りの物が揃うからって。

最初は、余り口数が少なかった私だけど、洋服を買ったりしているうちに少しず増えていった。

悠文が私を気遣い明るく振る舞ってくれたのも嬉しかった。

下着を買う時も悠文はついてきて、わざとセクシーな下着を選んだりして私をからかった。


なんだか、結構悠文の好みの下着を買わされた気がする。


それにしても

お店に入ると必ずって言っていいほど、店員さんも他の女性客も悠文を見る。

確かに悠文はカッコいい。でも、仕事場でここまで注目されることはない。それは、どこか近寄りがたい雰囲気をだしてるからだと思う。

でも今日の悠文は、まるでおとぎの国の王子様かと思うくらいキラキラして見える。

店員さんに笑顔を向けると皆目がハートになってたもん。


いったい、どっちが本当の悠文なんだろう?



昼食をとった後、食器を見ていたら

「どうせ買うならお揃いの買おう。」


なんて冗談かと思ったらホントにお揃いのお茶碗に箸、湯飲み、コップと一通り買ってしまった。


それらをもってレジに行くと


「新婚さんですか?」


何て言われて、私は否定しようとしたら


「結婚はまだですが、婚約したんです。」


迷わず答える悠文の顔を見ると、彼は私を見て微笑んでくれた。
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