恋の治療は腕の中で
この病院は、基本的に1人の先生に決まったアシスタント(私達 衛生士)が付く。


先生によってやり方や、治療速度も違うので私達スタッフの方もドクターが決まってた方がやり易い。もちろん患者さんにもその方が安心して治療を受けられるからだ。


私は、開業以来ずっと医院長についている。

医院長は、たまに小さな虫歯を見過ごす時があるので、そんな時は私の容赦ない突っ込みを受ける。

私は、勝手に愛のムチといってるけど。




「君は、どういうつもりなんだ。」


午前中の診療も終わろうとしていた時、誰かの怒鳴り声が聞こえた。


なに!?


もう患者さんはいなかったので、皆が急いで声のする治療室に入ると。

まだ今年入ったばかりの衛生士の子が下を向いて肩を震わせていた。


私は彼女の横にいって優しく肩に手をおき

「どうかなさったんですか?

藤堂先生。」

臨戦体勢で先生を睨み付けた。


「この子はまだ入ったばかりの新人です。

何があったかわかりませんが、もう少し長い目で見てあげてもいいんじゃないんですか?」


「彼女が一年目だろが、患者さんには関係ないと思うけど。」

藤堂先生も負けじと反論する。


医院長がオロオロしてながら話しに入ってきた。


「まあまあ、穏やかに話そうよ。」



「私がいけなかったんです。」



へっ?


どういうこと?


私は多分間抜けな顔してたと思う。

だって、怒こられて泣いてると思ったから庇ったのに、私が悪いとか言うんだもん。


藤堂先生が、(いや藤堂で充分だ!)


「分かればいいんだ。」


私に向かってしたり顔をしてきた。


ムカー、何よ、あの顔!











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