恋の治療は腕の中で
次の日の朝、悠文が言った意味がわかった。


昨晩は何度も悠文と抱き合った。自分がいつ寝たのかも記憶にない。

慌ててリビングに行くと、悠文が既に朝食の用意をしてくれていた。

「おはよう。」


悠文の顔を見たら昨晩のことを思い出し、顔が赤くなるのが分かる。

「お、おはよう。」


恥ずかしくて俯く私の顎を持って上を向かせそっとキスをしてくれた。

「やっとお目覚めだね。お姫様。」


そう言うともう一度キスをして、優しく抱き締めてくれた。


「本当はこのままベッドに連れて行きたいところだけど、仕事だからね。

この続きは、また帰ってから。」


またって………… 嘘っ!


朝食を食べ、急いでシャワーを浴び出掛ける支度を終えエレベーターで1階に降りた。


ポン♪


エントランスに出ると


「おはようございます。藤堂様」


うわー、ほんとにいたんだ、コンシェルジュさん。

今まで地下の駐車場から出入りしていたので、コンシェルジュに会ったのは初めて。


「おはよう。」


「おはようございます。」


「あー、桐谷さん。こちら私のフィアンセの望月 紗和さん。

これから、一緒に住むから覚えておいてください。」


「望月様ですね。かしこまりました。」


「望月様、桐谷と申します。

よろしくお願いいたします。」


「は、はい。

こちらこそ、よろしくお願いします。」


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