恋の治療は腕の中で
スタッフルームに入ると直ぐに瑞季が入ってきた。

「ねぇ~ねぇ~。紗和、藤堂先生と来てなかった?」


ギクッ 見られてたんだ。


でもまだ本当のことを言うきにはなれない

「うん。偶然会って。

なんか、レセプトやるとか言ってたよ。」


ごめん。瑞季。
私は心の中で手を合わせる。


診療時間になり、改めて悠文と向き合うと昨日までのことを思い出し顔が赤くなる。

マスクをする仕事で良かったなんて思う日がくるとは……

それにしても、悠文はまるでこの休みの事は何もなかったみたいにしてる。


むしろ冷たく感じる。
前ならこんな風に思わなかったのに、優しくしてくれた悠文を知ってしまったから余計に冷たく感じられて辛い。


本当に私を好きで婚約したの?それとも医院長に言われたから仕方なくなの?



また私の前から大事な人がいなくなるような事があったらわたしは耐えられないかもしれない。

それならいっそ今のうちに無かったことにしたほうが傷つかないですむのかも。






「……さん………望月さん。」


はっ。私ったら、治療中に何物考えてるのよ。

「すみません。」


「いや、珍しいね。望月さんがぼーとするなんて。具合でも悪い?」


「いえ、大丈夫です。」

本当は大丈夫な訳ない。

でもそんな事患者さんには関係ないこと。

兎に角今は患者さんに、集中しよう!


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