恋の治療は腕の中で
午後の診療前にトレーの用意をしていると、医院長が私の所にやってきて話しづらそうにしてる。

きっと、さっきのことだ。

私が先走ったから藤堂先生が文句を言ったに決まってる。


「医院長。先程は申し訳ありませんでした。」


「いやぁー、紗和くんは悪くないよ。新人の子を庇っただけだから。」


医院長は、優しく笑ってくれた。


「いえ、理由も聞かず藤堂先生にあんな態度を取った私が悪いんです。

後で先生にも謝ります。」


「いやぁー、その藤堂先生の事なんだけど。」


医院長言いにくそう?よっぼど何か言われたのかな?

でも私が悪いんだから医院長にあたらなくてもよくない?



「実は、藤堂先生がアシスタントを変えて欲しいって。」


あ~、そうだよね。

私でも仕事中に根掘り葉掘りプライベートを聞くようなアシスタントは嫌だもん。


「そうですか、そうですよね。

それで誰と交代しますか?

瑞季はどうですか?」


彼女なら適任だと思う。普段からドクターとだけは結婚したくない。って言ってるし。何でも俺様な所がおきに召さないらしい。

それなら色々聞いてこないんじゃない。


1人で納得していると

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