恋の治療は腕の中で
「それがね、藤堂先生に聞かれたんだよ。
誰が一番仕事が出来て患者さん思いかって。」
ふーん、そう言う風に言ってきたのね。患者さん思いかなんて、ちょっと見直したかも。
「皆そうなんだけど。って言ったら、
僕が一番そう思ってる人は?って聞かれたから。」
ん?何か医院長モジモジしてません?
「紗和ちゃん。だって答えたんだ。」
それは有り難いことだわ。
でも待って、何か嫌な予感がする。
「そしたら、藤堂先生。
望月さんがいい。って。」
えー、嘘でしょ!
だって、勝手に先走ってあんな事言ったのに。
私が呆気にとられていると
「まあ、そう言う訳だからさ。
紗和ちゃん、藤堂先生のアシスタントやってくれない?」
そう言う訳って 、どう言う訳よ。
今までずっと医院長といいコンビだと思ってやってきたのに。
医院長はそう思ってなかった。ってこと?
私の考えが分かったのか慌てて
「僕だって、紗和ちゃんがいいよ。
でもほらっ。まだ藤堂先生は来られたばっかりだから、出来れば良い環境で仕事してもらいたいんだよ。」
「分かってくれるかい?」
「そうだ! 今度新しくできたフレンチのお店。紗和ちゃん行きたがってたよね?
僕がランチご馳走するよ。」
いやいや、ランチじゃ誤魔化されませんよ。
「……ディナーで。」
「あー、 ディナーね。
うん。いいよ。じゃあ近いうち必ずね。」
なんか騙された気もするけど、医院長にあそこまで言われたら断れないや。
あそこのフレンチ食べてみたかったし。
ラッキー♪
ディナーなんて私の給料じゃ勿体なくて行けないもん。