恋の治療は腕の中で
「お前この家出ていくつもりか?」

喉がきゅーってなって声がだせないで黙って俯いていると


「はあー、俺そこまでお前を追い込んでたんだな。」

「ごめん、でも行かないでくれ。」

どういうこと?私がいたら麗香さんこの家にこれないじゃない。私は悠文にとって邪魔な存在でしょ?

「勝手なこと言ってるのは分かってる。でも俺は紗和と離れたくない。」


「な、何言ってる!

ほらっ、私なんかがいたら麗香さんが困るじゃない。

私は大丈夫だから。

今までだって1人でやってこれたんだし。

そう!元に戻るだけだから。

まあ、仕事でアシやらせてもらってるからどうしても麗香さんには嫌な思いさせちゃうかもしれないけど、あっ、でも内緒にしとけばいいことだし。もう私達は何でもないわけだから…………。」

泣いたら悠文に迷惑かかるの分かってるのに涙が止まらない。

「バーカ。

いや、バカなのは俺の方。

お前がそう言う風に考える奴だってこと分かってたのに、ちゃんと話さなかった俺が悪い。」

ギュッ

悠文?何で私を抱き締めるの?


「紗和。俺はお前を愛してる。

だから何処にも行くな。」


あいしてる?

……?

愛してる!?

「うそ!?

だって悠文には麗香さんが。」


「俺は紗和にちゃんと話しつけてくるっていわなかったか?」

確かに言ったけど。

「だって、何も話してくれないし、帰って来ないし……。」


ヒック ヒック

悠文は泣きじゃくる私の背中を優しく撫でてくれる。

「ごめん、ごめん。」


「私のこと愛してるの?」


クスッ


「愛してるよ。」


耳元で囁かれた。

ドクン

「紗和は俺のこと愛してない?」


「愛してます……。」


「うん。よし。


もう俺紗和が足りない。


抱くぞ!」


へっ?
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