恋の治療は腕の中で
その夜悠文は、気を失ってたのにごめんとか言いながら私を何度も何度も抱いた。



抱いた後私を抱き上げてそのままシャワーに連れて行き私の身体を洗ってくれた。
私が湯船に浸かっている間自分の身体を洗い一緒に湯船に浸かる。

お風呂から出る時も悠文が私の身体を拭いて髪をドライヤーで乾かしてくれ、部屋着に着替えさせてくれた。

私がいくら断っても自分にやらせてくれの一点張り。


それから私が倒れた理由はまともにこの2日間食事をとっていないと知ると玉子粥を作って食べさせてくれた。

久しぶりに食べた食事は私のお腹だけではなく心まで満たしてくれた。

ベッドに入ると腕枕をしながら私の頭を撫でてくれた。

「紗和?」

「ん?何?」


「麗香とのこと、もう心配しなくていいからな。」


「ほんとに?」

「あ~。

麗香の奴、フィアンセの俺が会わないからって病院まで来たけど本当は俺のことなんて何とも想ってなかったんだ。

土曜日に話しつけにいっただろ?

あの日麗香は自殺を図ったんだ。」


えっ、まさか。そんなに悠文のこと想ってたの?
でも悠文のこと何とも想ってなかったって、どういうこと?


「俺は実家の病院に連れていって寝ないで看病したさ。俺の責任だと思ったし。それで帰りが次の日になったんだ。でも俺は麗香を愛してなかったから例え自殺をされても結婚する気はなかった。
それでも責任はとらなきゃとは思ってたよ。
どういう形にしても麗香の意識が戻らないとってだから時期を見て話すって言ったんだ。」


そうだったんだ。

でも、自殺をするほど悠文のことが好きなんじゃないの?
やっぱり私……。

「あー、でも違ったんだ。」

「な、なにが?」


「麗香が好きな人。」

「俺じゃなかったんだ。」


「でも、自殺したんでしょ?」

「あ~。本当は兄貴のことがずっと好きで兄貴に振り向いてほしくて俺に気のある振りしたり、あんなことまで……。」

あんなことって自殺だよね。

「兄貴の奴お袋が倒れた時は顔を見せもしなかったくせに麗香が病院に運ばれたって知った時は医師会の会合があって大阪に行ってたんだぜ、それなのに最終の新幹線に飛び乗って帰ってきたんだ。あの時の取り乱し方は半端なかったさ。兄貴のあんな姿初めてみたかも。」

こんなこと言ったら不謹慎かもしれないけど、なんだか悠文嬉しそう。

「今日仕事休んだのも麗香さんの意識が戻らなかったから?」


「あ~。

意識を取り戻したのはお昼前だったかな。

それから兄貴は、俺に麗香との婚約は解消しろだとか、お前には勿体無いだとか結局は自分の方が麗香に相応しいとまで言い出す始末。」

「麗香さんの気持ちは?」


「麗香は、本当は俺なんて好きじゃない兄貴の気を引くためだった。だぜ。
俺は何だったんだって話だ。」


なんか悠文興奮してきてない?


「あー、段々腹立ってきた。」


ガバッ


「紗和、もう一回。」


冗談でしょ!?

「もう、無理です。」


悠文ったらしょんぼりしちゃって可愛い。
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