恋の治療は腕の中で
外に出るとすっかり秋らしくなっていた。日中はまだ暑いものの、夜になると少し肌寒い。


「寒くない?」

「うん。平気。

それで話しって?」

「大樹のことなんだけど、アイツ結婚したんだ。」

結婚?

「そ、そうなんだ。 お相手の人は?」

「紗和ちゃんも知ってる人。」

「私も知ってる人?」

私の中では、私と大樹が別れる原因になった女の子が頭をよぎった。

「やっぱ、気になる?」

「そんなことないよ。もう昔のことだし。 誤解しないでね。別に好きとか未練があるとかじゃなくて、好奇心で知りたいかな?」

「好奇心ねぇ~。」

やだ、中田くん誤解してる?


「やっぱりいいや。」

私が慌てて否定すると


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