恋の治療は腕の中で
そこへ医院長が入ってきた。


「おはよう。どうだい様子は?」

「おはようございます。

一応あと30分程で直るみたいです。」

「30分か、微妙だね。

紗和ちゃんはどう思う?」


「そうですね。

朝イチの患者さんは間に合いそうにないですね。

さっき予約を確認したら医院長に少し無理をしてもらえれば何とかなると思います。」

医院長は、もうお年なので普段患者さんは他のドクターの半分程しか入れてない。

「私もなるべくフォローします。」

こんな時の悠文の言葉は私を安心させてくれる。

「うん。さすが紗和ちゃんだ。」

「ありがとうございます。

担当の変わる患者さんには受付からそのむね伝えるよう話してきます。」

「そうだね。もしどうしてもやだって言う患者さんがいたら仕方がないから次回のアポを優先してとってあげて。」

「はい、伝えておきます。

でも大丈夫だと思いますよ。患者さんは皆さん医院長のこと信用してますから。」

私が受付にその事を伝えに行っている間医院長と悠文は、

「藤堂先生、どうだい紗和ちゃんは。」

「医院長の言う通りさすがですね。

こんな時にあれだけ的確に指示を出せる人はそうそういないんじゃないですか。」

「惚れ直しただろう。」

「ま、まぁー。」


「おっ、まんざらでもないって顔だな。」

「何を言ってるんですか、さっお仕事しますよ。」
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