恋の治療は腕の中で
「ほらっ、前菜きたよ。」


フルーツトマトとオーガニックスイートオニオンにエキストラバージンオリーブオイルをかけたシンプルなものだけど、トマトもオニオンも嘘みたいに甘い。


「美味しい!オリーブオイルで更に甘さが増してるみたい。」

それからタラバガニのクラブケーキにクラムチャウダー

そしてサーロインステーキ


どれも私が食べた事もないくらい美味しかった。
そしてどれもワインとの相性も良く私にしては珍しく1杯目のワインが飲み終わるところだ。


「紗和ちゃんは昔から美味しそうに食べるよね。」

「うん。だって本当に美味しいんだもん。

でもこのお料理高くないの?私も払うよ。」


「何言ってるの。実はこのレストランに知り合いがいてかなり安くしてもらえるんだ。」

(嘘だけど。)

「そうなんだ。では、遠慮なくご馳走になります。」


次にほうれん草のクリーム煮が来て2杯目のワインも飲み終えるとデザートが運ばれてきた。

ニューヨークチーズケーキ。私の大好きなケーキに思わずテンションがあがる。

大好きなチーズケーキを食べていると


あれっ?なんか頭がボーッとしてきた。ちょっとワイン飲みすぎたかな?今日は中田くんの相談を聞きに来たのに。しっかりしなきゃ。

悠文にもメールしなきゃだし

「ちょっとお手洗いに行ってくるね。」

立ち上がると足がふらつく。

「大丈夫紗和ちゃん。

ちょっと飲みすぎたかな?お手洗いまで連れていってあげるよ。」


「ごめんね、お願いしてもいい?」

「ちょっとウェイターに話してくるよ。食い逃げだと思われたら大変だからね。」


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