春、君を想う
卒業式

上の空で

3月2日

部屋の鏡に自分を映す。このセーラー服に袖を通すのも、今日が最後になった。

朝から生憎の雨。団地の階段を降りる。たくさんの花の山が、雨に濡れる。それを尻目に、駅へと向かう。

…なんで…?

心の中で、聞いてみる。もちろん、応えなんてない。

いつものように、朝が来る。電車に揺られ、学校を目指す。こんなルーチンワークも今日が最後。

毎朝だるかったのに『最後』となると寂しくもある。

『最後』なのに、隣にシュンはいない。

…なんで…?

また、聞いてみる。何度聞いても、応えはない。

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