蒼天の絆~夜空の琥珀2~
本当に辛い人ほど、言葉で助けを求められないと私は知っているから、見過ごしたくない。
城ヶ崎が背を向ける。
振り返ろうとはしない……が。
「……俺には、俺たちには、家族なんていない」
「え?」
「いないんだ。……もうここには来るな」
それはどういうことなのか?
訊ねる前に、城ヶ崎は薄暗い廊下の向こうへ姿を消す。
もどかしさは募る一方だけど、何か大切なことを教えてくれたと、私はこのとき感じた。