蒼天の絆~夜空の琥珀2~
彼女の名前を呼んで、自分だけ満足していた。
しかし気づいてしまったのだ。
願わくば、昔のように名前を呼んでほしい。でも。
「言えないよな……」
呼んでくれと言えば、彼女は呼んでくれるかもしれない。
だがそれでは駄目なのだ。
そこは自分の変なクセで、大切な彼女を独り占めしたいのに、強制するのは嫌だという点。
相反する感情がぶつかって、悩みの種である。
追い打ちをかけるかのごとく、冷えた夜風が吹き付ける。