蒼天の絆~夜空の琥珀2~
 
 嘲笑われないよう怯えて生活するんじゃない。

 一緒に笑い合うために1歩を踏み出すことが、大切なんだ。



「……お気楽だね。でも悪くないんじゃない。その考え方」



 肯定的な言葉を、初めて聞いた。

 とっさに見た郁人くんの横顔は、ほんの少し、穏やかそうで……。



「なっ……ジロジロ見てんじゃねーよ!」


「え? あ、ごめんっ!」


「つーか俺、アンタのせいで疲れたんだからな! さっさと食って帰るぞ!」



 顔を真っ赤にして不機嫌この上ない郁人くんを見るのは、なんか……初めてじゃないような……?



(……そんなわけないか。これまで会ったことないんだし)



 こんな風に怒られるのが、彼と話してるときぐらいだった。

 だからちょっと頭をよぎったのかな、なんて考えた。
 
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