蒼天の絆~夜空の琥珀2~
「彼女が人を好きだから、僕も好きになる。ただそれだけのことなんだよ」
「紅林第一主義だな」
「あれ、雅宏さんも僕第一主義じゃなかった?」
「…………」
「……何てね。僕のために徹夜で調査してくれたり、衝動を抑える方法を教えてくれたことはちゃんと覚えてるよ。ありがとう。親孝行はするよ」
「芳一(よしかず)には」
「しない」
「……泣くぞ、アイツ」
「知ったこっちゃありません。あんな馬鹿親」
そう言ってまとめれば、雅宏さんも追及しようとはしなかった。
立ち上がって試験管の置かれた教卓まで歩いて行く。
ゴソゴソと探った後、何かを手に戻ってきた。
「今日の本題」
プラスチックケースを手渡される。
手の平サイズのそれはどう見ても……。