続 でも、好きなんです
『遅くにごめん。

今週、会えないかな?』


短い文面の課長からのメールだった。

メールを開いたのは、午前二時、布団のなかでだった。

受信時刻は午後11時。

気がついたら、寝てしまっていたようだ。

会社を出るとき、課長はまだ忙しそうにしていたから、遅くまで残業していたのだろう。

課長からのメールはいつも用件だけだ。

長い文章を打つのは苦手なのかもしれない。

すぐに返信したかったけれど、さすがにこの時間に返信するのは迷惑だろうと思ったので、文面だけを作成して、保存ボックスに保存した。

『大丈夫です。

今週の金曜日はどうですか?』

明日の朝、課長に送信することを楽しみに、もう一眠りする。


朝、目が覚めて、少しの間考えて、送信ボタンを押した。

それだけで、爽快な気分の朝だった。



今日の服を選びながら、そういえば今日は、美穂と夕飯を食べる約束をしていたことを思い出した。

せっかく飲みに行くんだし、とまだ寒かったけれど、春らしい白いニットを選んだ。


(美穂、まだ、前に言っていた人と不倫しているのかな・・・。)


メールではなんだか報告しにくくて、課長とのことは、美穂にはまだ報告できていない。

今日会ったら、話してみようと思う。

美穂に、聞いてもらいたかった。

他の誰にも相談出来ないけれど、同じ立場にいる美穂なら、今の気持ちをわかってくれるような気がした。
< 7 / 14 >

この作品をシェア

pagetop