続 でも、好きなんです
会社に着いてから、携帯を確認したけれど、課長からの返信はなかった。
(朝は、忙しいもんね。)
返事が来ていないことを少し寂しく想いながらも、今日一日、課長からの返信を待って過ごせることがなんだか嬉しかった。
課長からのメールは、私にとって、最高のご褒美だ。
「おはようございます。」
今日も、いつもどおりのそっけない挨拶を交わす。
でも、今日は少し元気だった。
(今日も、頑張らなくちゃ。)
今日の仕事は、まず午前中の会議の準備だ。
机と椅子を人数分、指定された形に並べなければいけない。
「商品会議の準備してきます。」
そう言って、私はひとりで会議室に向かった。
いってみると、今週はまだ使われていない会議室は、机が乱雑に置かれたままの状態だった。
空調が切れているので、とても寒い。
急いで空調の電源を入れた。
会議室の空調は設備が古く、効いてくるまでに時間がかかる。
(うー、寒い。)
今日は張り切って春物のニットなんか着てきたものだから、なおさら寒い。
震えながら机を動かしていると、会議室のドアが開いて、窪田さんが入ってきた。
「もー、人手いるなら、ちゃんと言ってよ。」
ふざけたように言って、私の方に近寄ってくる。
「あ・・・すみません、忙しいかなって思って・・・。」
「ちゃんとSOS出さないとー。
一応ちゃんと男だからね、僕。
で、どうやって並べるの。」
「あ、えと・・一列を机三つで、四列作ります・・・。」
「はいはい。」
そう返事をして、窪田さんは机を運び始めた。
(窪田さんって、結局いつも、私のこと、助けてくれる。)
自分も机を運びながら、窪田さんのことを考えていた。
あれから、窪田さんは課長とのことは何も聞いてこない。
キスのことや、告白のことなんか、なにもなかったみたいに、普通の先輩後輩として接してくれる。
「あ、河本さん、ごめん、そこの椅子どけてもらえるかな?」
「はい、わかりました。」
窪田さんが言った椅子を動かそうとした。
寒さで手がかじかんで、一瞬手が上手く動かなかった。
慌てて手をこすりあわせる。
少し暖かくなった。
「あれ、寒いの?
・・・そういや、この部屋、寒いね。
今さら気づくとか、僕って鈍感?」
「いえ、大丈夫です。
ちょっと、手がかじかんじゃって…。」
「わかったわかった。」
そう言うと、窪田さんは私のほうに近づいてきて、おもむろにスーツの上着を脱ぐと、私の肩にかけた。
突然の出来事にびっくりして、声が出ない。
「!」
「寒いんでしょ?
あげる。」
「え・・・、あの・・・。」
私がどぎまぎしていると、その様子を見て、窪田さんはおかしそうに笑った。
「うそうそ、ちゃんと返してよ?
気に入ってるんだから、その上着。」
そう言うと、再び残りの机を並べ始めた。
(・・・窪田さんって、ほんとズルい。)
こんなことされたら、ドキドキしちゃうに決まってる。
肩にかけられた上着もそうだけど、上着を脱いでワイシャツにネクタイだけの窪田さんにもドキドキする。
細身だけど、筋肉が結構あるのが、ワイシャツの上からでもわかる。
男の人らしい骨格。
(その肩の出方がいやらしいんだよ・・・。)
いや、いやらしいのは、そんなこと考えている私だ。
邪念を振り払おうとひとり頭を降った。
そこに、課長が突然入ってきた。
(朝は、忙しいもんね。)
返事が来ていないことを少し寂しく想いながらも、今日一日、課長からの返信を待って過ごせることがなんだか嬉しかった。
課長からのメールは、私にとって、最高のご褒美だ。
「おはようございます。」
今日も、いつもどおりのそっけない挨拶を交わす。
でも、今日は少し元気だった。
(今日も、頑張らなくちゃ。)
今日の仕事は、まず午前中の会議の準備だ。
机と椅子を人数分、指定された形に並べなければいけない。
「商品会議の準備してきます。」
そう言って、私はひとりで会議室に向かった。
いってみると、今週はまだ使われていない会議室は、机が乱雑に置かれたままの状態だった。
空調が切れているので、とても寒い。
急いで空調の電源を入れた。
会議室の空調は設備が古く、効いてくるまでに時間がかかる。
(うー、寒い。)
今日は張り切って春物のニットなんか着てきたものだから、なおさら寒い。
震えながら机を動かしていると、会議室のドアが開いて、窪田さんが入ってきた。
「もー、人手いるなら、ちゃんと言ってよ。」
ふざけたように言って、私の方に近寄ってくる。
「あ・・・すみません、忙しいかなって思って・・・。」
「ちゃんとSOS出さないとー。
一応ちゃんと男だからね、僕。
で、どうやって並べるの。」
「あ、えと・・一列を机三つで、四列作ります・・・。」
「はいはい。」
そう返事をして、窪田さんは机を運び始めた。
(窪田さんって、結局いつも、私のこと、助けてくれる。)
自分も机を運びながら、窪田さんのことを考えていた。
あれから、窪田さんは課長とのことは何も聞いてこない。
キスのことや、告白のことなんか、なにもなかったみたいに、普通の先輩後輩として接してくれる。
「あ、河本さん、ごめん、そこの椅子どけてもらえるかな?」
「はい、わかりました。」
窪田さんが言った椅子を動かそうとした。
寒さで手がかじかんで、一瞬手が上手く動かなかった。
慌てて手をこすりあわせる。
少し暖かくなった。
「あれ、寒いの?
・・・そういや、この部屋、寒いね。
今さら気づくとか、僕って鈍感?」
「いえ、大丈夫です。
ちょっと、手がかじかんじゃって…。」
「わかったわかった。」
そう言うと、窪田さんは私のほうに近づいてきて、おもむろにスーツの上着を脱ぐと、私の肩にかけた。
突然の出来事にびっくりして、声が出ない。
「!」
「寒いんでしょ?
あげる。」
「え・・・、あの・・・。」
私がどぎまぎしていると、その様子を見て、窪田さんはおかしそうに笑った。
「うそうそ、ちゃんと返してよ?
気に入ってるんだから、その上着。」
そう言うと、再び残りの机を並べ始めた。
(・・・窪田さんって、ほんとズルい。)
こんなことされたら、ドキドキしちゃうに決まってる。
肩にかけられた上着もそうだけど、上着を脱いでワイシャツにネクタイだけの窪田さんにもドキドキする。
細身だけど、筋肉が結構あるのが、ワイシャツの上からでもわかる。
男の人らしい骨格。
(その肩の出方がいやらしいんだよ・・・。)
いや、いやらしいのは、そんなこと考えている私だ。
邪念を振り払おうとひとり頭を降った。
そこに、課長が突然入ってきた。