【短編】バスケ部の不良野郎【BL】

「じゃあ、俺もう帰るわー」

 放課後、洋平は瑞稀と咲夜と一緒に体育館でバスケ部の練習を少し見て、バイトを理由に一人逃げるように帰った。

 洋平は一度だけ、遅刻魔の琉華が来る時間まで見学したことがあった。

 しかし、暁月と琉華が発するライバル特有の空気感に諦めを感じて以来、琉華が来る前に帰るようになった。

「あいつ、バイト忙しいのかな」

 何も知らない咲夜が、去って行く洋平の背中を見つめた。

「いや、そうじゃないと思うよ」

 詳しい事情は知らないまでも、なんとなく察している瑞稀が洋平を哀れんだ。

「洋平もいろいろ悩んでるんだよ」

「ふーん、俺らもそろそろ帰るか?」

「だな」

 瑞稀たちも琉華が苦手で、琉華が来る時間までいることはほとんどない。

「暁月ー!また明日なー!」

 咲夜が暁月に向かって大声で言う。

「おー!じゃあなー!」

 ブンブンと手を振って暁月は二人を見送った。

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