【短編】バスケ部の不良野郎【BL】
二人が帰ったあと少ししてから、ようやく琉華が体育館に来た。
「音駒、やっと来たか、また遅刻だぞ」
「すみません」
副部長の注意に、全く反省していない様子の琉華は、部室で練習着に着替えてコートに入った。
「じゃあ、音駒が来たから、スリーオンスリーやるぞ」
副部長の指示でチームが分けられ、暁月と琉華のチームで試合をすることになった。
試合中、暁月と琉華の一騎打ちになり、暁月は何度も琉華にボールを取られた。
「遅いんだよお前は」
「っるせえ!」
暁月からボールを奪って流れるようにゴールを決めた琉華に、体育館の中にいるファンたちから黄色い歓声が上がる。
「へたくそ」
「黙ってろ!俺はまだ本気を出してないだけだ!バカネコ!」
「バカザル」
「この野郎!調子に乗りやがって!女どもの前で俺をバカにするな!」
琉華は強がる暁月を鼻で笑って自分のポジションについた。
暁月は琉華以外の誰にもボールは取られない。
琉華のときだけ、なぜか取られてしまう。
暁月自身は、琉華の白くてすらりとした指先を見ていると、いつの間にか取られてる、というが、つまり見惚れているだけだ。