キライになりたい曲
あれから約8ヵ月。
「もういい加減ふっきれなよ〜!」
「ふっきれてはいるの!ふっきれては!」
散々泣いては後悔して。
彼が好きだからと
買いだめしておいた飲めないビールを飲みながら、彼に電話しそうになった日々。
幼馴染の夏海(なつみ)に連絡先を消されて、
外に連れ回されて、ようやく。
普通に笑えるくらいには戻れたんだ。
「ただ、それでも聴きたくないの。
あのアーティストさんの曲だけは!」
なのに。
デートの代わりに予定を入れまくっていた大好きな音楽イベントで、大嫌いなあの曲を聴かなくちゃいけないなんて。
「それアーティストさんに失礼だからね?」
「あっ、、えーっと、アーティストさんが悪いわけじゃなくて、むしろ良すぎるからこそ聴きたくないというか、、」
「要は、凛冬(りと)くんのこと思い出すからでしょ」