キライになりたい曲


あれから約8ヵ月。


「もういい加減ふっきれなよ〜!」

「ふっきれてはいるの!ふっきれては!」


散々泣いては後悔して。

彼が好きだからと
買いだめしておいた飲めないビールを飲みながら、彼に電話しそうになった日々。

幼馴染の夏海(なつみ)に連絡先を消されて、
外に連れ回されて、ようやく。
普通に笑えるくらいには戻れたんだ。


「ただ、それでも聴きたくないの。
あのアーティストさんの曲だけは!」


なのに。

デートの代わりに予定を入れまくっていた大好きな音楽イベントで、大嫌いなあの曲を聴かなくちゃいけないなんて。


「それアーティストさんに失礼だからね?」

「あっ、、えーっと、アーティストさんが悪いわけじゃなくて、むしろ良すぎるからこそ聴きたくないというか、、」

「要は、凛冬(りと)くんのこと思い出すからでしょ」
< 4 / 42 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop