3日限りのルームシェア

片思い

「うまい・・・」
「そんなに食べて大丈夫ですか?」
樹の食べっぷりは知香の目をくぎ付けにするほどだった。
市販のルーで作ったカレーなのに・・・

気がつくと4人分のカレーはほとんどなくなっていた。
樹が手を合わせて「ご馳走様でした」と言った時に
さっきの洗濯とお風呂の事を思い出した。
「あの・・・樹さん。お風呂と洗濯なんですが・・・・」
知香の言わんとする事がわかった様で
「大丈夫だよ。洗濯は部屋干しするし、お風呂も交代で
決して覗いたりしないから安心して」
「・・・・あ・・・す・すみません」
別に樹が覗いたりするような人には見えないが
樹の口から覗いたりしないからと言わせたような気持ちになり
ちょっと心が痛んだ。
「とりあえず、今日は樹さんから先に入ってください。
お風呂の用意は私がしますから・・・」
「いいよ。知香ちゃんが先に入りなよ。用意した人が先に入るべきだ」 
「でも今日は樹さんも長旅で疲れてらっしゃると思いますし・・・
それにあんなにたくさんの家賃いただいてますから・・・
お風呂の用意と食事だけは3日間だけですが私がやります・」
知香の言葉にこれ以上言っても無理だと思った樹は苦笑いをしながらも
「じゃ・・・今日だけは先に入らせてもらうよ。ありがとう・・・」
知香もご馳走さまをすると席を立ち食器をキッチンまで運んでから
風呂の用意をするためバスルームへと向かった。
樹はそんな知香の後ろ姿を愛おしそうに見つめていた。
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