３日限りのルームシェア
知香との出会いは樹が大学生で彼女が高校2年生。
その日梓と知香がリビングで試験勉強をしていた時だった。
「あれ？兄貴今日は帰りが早いじゃん」
梓がシャーペンをクルクル回しながら話しかけてきた。
「ん？今日、休講になったから・・お前は試験勉強？」
「そう～～。もう～全然わかんないんだよね。・・・そうだ！
ねえ。兄貴ここ教えてよ！」
手招きする梓に樹は面倒くさそうに腰を下ろした。
すると樹の横に初めて見る顔があった。
お互い目が合うが知香は思いっきり目を逸らした。

まじかよ・・

自分で言うのもなんだけどもてる方だ。
女に不自由した事はないが、ここまであからさまに目を逸らされるとは
思わなくて、彼女を見つめ返してしまった。
そんな2人を黙って見ていた梓は大きな声をあげて笑いだした。
「兄貴！だめだよ。この子人見知り激しいから・・・
ってか兄貴、知香は初めてだよね」
樹は知香が目を逸らしのが人見知りのせいとわかり内心ホッとした。
知香は視線を少し落としながら
「宮下知香です・・・・」ぺこりとお辞儀をした。
樹は知香の姿が初々しく感じ目が離せなくなった。
樹の様子を見ていた梓は、吹き出したくなる気持ちを抑えながら
「知香、これうちの兄貴の樹。」
我に返った樹は慌てて挨拶をした。
「樹です。よろしく」
知香は顔を薄ら赤く染めながら頷いた。
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表紙・目次

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