３日限りのルームシェア

「私、このまま帰った方がいいかな？」
首だけを知香たちに向け様子を伺うと
「下手な小細工するよりは黙って応援が一番じゃないかとおじさんは思うけどね」
確かに今ここで自分がわざとらしい演出をするよりも
私が来れなくなったとかいっちゃえばそのままうまくいきそうな・・・
そんな気もしてきた。
すると梓はニヤリと笑うと
「じゃあ・・・マスターちょっと・・・場所借りていい？それであの２人には適当に言っておいて」
マスターは親指を立てて「まかせなさい」と言ってくれたので
梓は気づかれないようにカウンターの中へと入っていった。

そんなやり取りがあったことなど全く知らない２人は
まだかまだかと梓を待っていた。
「梓・・・遅いな・・・ったく自分で誘っておきながら・・・」
ぶつぶつ言う樹に知香はメニューを差し出した。
「樹さんはコーヒーお好きですよね。ここのマスターの淹れる
コーヒーは最高なんですよ。梓・・・まだ来そうにないなら先に注文しましょうよ」
樹は申し訳なさそうに知香をみてメニューを受け取った
「悪いね。あいつが来たらガツンと！・・・・」
と言った途中でマスターが現れた。