3日限りのルームシェア

本当にヘタレ?

知香は樹の返事を聞く前にドアを開けていた。
樹はスーツケースを持ってドアのすぐ近くにいた。
「・・・行くんですか・・」知香は立ちつくしたまま樹の部屋のドアをじっと見つめていた。
このままでいいの?
こもまま黙って樹が荷物を持ってここから出て行って
それで自分はすっきりするのか・・・
まだいろんな思いが頭の中をぐるぐる回って
うまく整理できずにいた。
でも一つだけわかることは、智香が樹にホテルにでも泊まってほしい
取ったことで今身支度をしている。そして樹はきっともう自分とは
二度と会わないだろうという事。
止めるなら・・・行かないでと言えるチャンスは今しかなかった。
だけどどうしても自分の気持ちに素直になれない部分もあり
智香はため息と一緒にノックをする右の拳を何度も上げたり下げたりしていた。

でもこんなところでグダグダ考えているうちの樹が出て行ってしまうかもしれない。
智香は意を決してノックした

ところが・・・ノックしても応答がない。
一度行動を起こすと止まることを知らない智香はもう一度ノックした。
少し強めに・・・
すると
「・・・・・・はい」
小さな声だが聞き逃さなかった
「・・・入っても・・・いいですか?」
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