3日限りのルームシェア
知香は樹の返事を聞く前にドアを開けていた。
樹はスーツケースを持ってドアのすぐ近くにいた。
「・・・行くんですか・・」

出てけと言ったものの行くんですかは矛盾しているが
聞かずにはいられなかった。
樹は黙って頷いた。
そんな樹の態度にも智香は少しイライラしていた。
「自分の言いたい事だけ言ってさっさと行くんですか?」
樹は無言だった。

「じゃあ・・・私とこれで最後でも・・・いいんですね」
「それは・・・」
樹は顔を歪ませながら顔を上げた。
言葉を発したいが言葉がうまく出てこないようで
知香と視線がぶつかる。
「樹さんの私への想いってそんなもんだったんですか?
言いたい事だけ言って私の話も聞かず、自己完結ですか?
どんだけヘタレなんですか?」
気がつけば知香の目から涙がこぼれ落ちていた。
「知香ちゃん…」
「男だったら・・・
好きな女を黙らせるくらいの事してみなさいよ。
ずるいよ・・・こんなに人の心をかき乱して・・・・
一人で完結しよっー」
知香の言葉は樹の唇で塞がれた。
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