3日限りのルームシェア
用意した夕飯のハンバーグをぺろりと平らげて
かなりご機嫌な流衣とは反対で知香は何とも居心地の悪い
気分だった。
とにかく流衣は樹から離れようとはしなかったからだ。
ご飯の時も隣、リビングのソファーでくつろいでいる時も隣でべったり
そしてお風呂も一緒。
この分だと恐らく寝るのも一緒なんだろうね・・・
そうなると今日は隣の部屋で寝るしかないか・・・・
知香は樹たちがお風呂に入っている間に隣の・・・嘗て樹がいた部屋に
布団を敷いておいた。

こんな状態で流衣に自分たちの関係を言うことなんかとてもできなかった。

裸で出てきた流衣の身体を綺麗に拭いて、預かっているリュックの中から
下着とパジャマを着せた。
そして髪の毛をドライヤーで乾かす。
「ねー。知香ちゃん」
「なあに?」
「知香ちゃんはお家に帰るの?今日は帰らないの?」
あっ!そうか一緒に暮らしている事を言ってなかった。
っていうかこの状態だと言えないわ・・・・
返事に困っていると
風呂から出てきた樹が入って来た。
「流衣、知香ちゃんとおじちゃんはね・・・・」
ヤバい。今は・・・今は何となくだけど本当の事を言わないでほしいと
思った。
「あ~~。電車なくなっちゃった~。流衣ちゃんごめん。私も
泊っていいかな?」
樹はおいおいって顔で知香を睨むように見ていたが
知香は今は言わないでと顔を小刻み振ると目で訴えた。
「しょうがないな~~今日1日だけよ」
かなり上から目線で言われた。
本当は自分の家なのに・・・・
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