あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。





 またそちらに顔をやると、兵士が動けない魔術師に向かって銃口を向けていた。



「たんなる致命傷じゃ、お前らはさっさと“魔法”とやらで回復しちまうからな。 息の根は残らず止めろとの命令だ」

「くっ……!」



 魔術師は防御魔方陣を展開する魔力もないみたい。


 そのことに気づいているのか、いないのか兵士は迷うことなく銃の安全装置を外す。


 そして、引き金に指をかけた。


 ダメ……!



「さようなら」



 オスガリアの兵士は、ニィ、と気味の悪い笑みを浮かべた。


 銃声が、薄く濁った空に高く、響いた。



「──なに!?」



 銃を構えた兵士は、目の前に現れたものにたじろいだ。


 目の前に広がる紫色の魔方陣。


 ポトリ、とその銃口から放たれた銃弾が、魔方陣に弾かれて落ちた。



「あたしたちの国の魔術師に手を出して、そのうえ息の根を止める?」

「だ、だれだっ……」


 
 兵士は掠れた声を漏らす。




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