あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。





 パチパチと、魔方陣が青白い光を放ち始めた。



「このまま雷、受けたい?」

「いいいいいえ!」



 驚いたのは魔方陣か、はたまたあたしの表情にか、兵士は真っ青な顔で、ブンブンと顔を激しく左右に振った。


 そして、へっぴり腰で自分たちの軍へと帰っていく。


 
「あの……あなたは……」



 地面にひれ伏していた魔術師が、よろよろと立ち上がった。


 魔法陣を閉じると、あたしは彼と向き合い、軽く息を吸って身体に力を込める。



「あたし? あたしは……魔女よ」

「魔女!?」

「まだまだへっぽこだけどね」

「そ、そんなことありません! 助けていただき、本当にありがとうございました!」




実は元気なのかな?と勘違いしてしまうほど見事な動きで魔術師は再び地面にひれ伏して礼を言った。


慌ててやめるように言ったんだけど、どうやら礼を言ったとき、力尽きてしまったようで。



慌てて抱き起こしたら、気絶してしまっていた。

 
 けれどしばらくすると、別の魔術師が現れ、ケガだらけの魔術師は無事に運ばれて行った。



「っ……はぁ~……」



 そんな様子を眺めていて、大きなため息をついてしまう。



「よかったぁ~」


 
 ちゃんと魔方陣現れたよ……。



< 106 / 335 >

この作品をシェア

pagetop