あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。
とりあえずあたしは、カカオたちが見えた方向へ向かって歩き出した。
少し進めば、丘を越える。
うわ……。
その景色に思わず立ち尽くし、慄然とした。
最前線の戦場は酷いありさまだった。
地面は抉られ、木々は薙ぎ倒され、いくつもの砲弾の後が、痛々しく地面に残っている。
立派な木々にはオスガリアの兵士が放ったのであろう矢が、何本も突き刺さっていた。
こんな悲惨な戦場だけど、人が倒れていないことが幸い。
しかしそれも、この特殊な状況の戦争だからだろう。
オスガリアの兵士は武器を駆使して魔術師を倒そうとするけれど、魔術師は魔法があるため、そう簡単には倒れない。
それに、魔術師には兵たちを傷つけようとする意思がない。
ただウェズリアを守ろうと、仕掛けられる攻撃を防ぐため、防御を繰り返しているだけで、傷ついても大抵の傷は魔法で治すこともできてしまうから、いくらルクティアの者がこちらを滅そうとしても、魔法がある限り魔術師は無事なんだ。
それでも、精神的苦痛や、その治癒をする側も疲労が溜まる。
ウェズリアはオスガリアほど、人口がいない。
もう、ウェズリアはぎりぎりのところにいるんだ。