あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。
〈まおぉ~〉
肩の上のシュガーが、情けない声を出し、あたしの顔を見上げる。
「なぁに?」
〈さっきも言ったけどよ、このまま王子のとこ向かうのか? ここにいることバレたら怒られるんだぞ〉
「ゔっ」
そうだった。
あたし、カカオに黙ってここに来ちゃったんだった。
さっきあんなことがあって、すっかり忘れてた。
どう言い訳しよっかなぁ~……。
確かに、魔術師たちが戦っていてあたしだけが安全な場所にいるということが許せなかった。
あたしは、この国を守るために喚ばれたのに。
力はまだ、安定していないことなんて、自分が一番よくわかってる。
皆の足手まといになってしまうことも。
きっと、このことを知ればカカオは大激怒するだろう。
けれど、行動しないわけにはいかなかった。
気づいたら、身体が勝手に動いていた。
だって、絶対言えないもん。
『カカオが心配だったから来た』なんて。
魔術師たちのことは心配。
けれど、一番気になっているのはカカオの事なの。
どうして、なんて言われてもわからない。
ただ、カカオを思うと胸がいっぱいになって、なにも考えられなくなってしまう。