あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。



入った直後に、あたしは後悔していた。



「うぅ~……」


 何これぇ……。


 あたしは心の中で悪態をついた。


 あたしが乗り込んだ森は、ちくちくとした草は背丈くらいまで伸びているし、木にぐるぐると巻き付いている蔦は、地面にも生えていて、気を緩めると、足をかけて転んでしまう。


 小枝が四方から行く手を阻み、空から届くはずの日光は一ミリも見えない。


 空気すら、どんよりと重く感じられた。


 うー……。


 前見えないし、暗いし、なんか怖い……。


 シュガーと別れなければよかったよぉ……。


 暗いとこ、怖いよぉお!


 あたしは木に抱き着いて、しばらく辺りを見渡した。


 そして、魔力で人がいるか探る。


 ……いないな、よし。


 そう判断したあたしは、さっさとこの暗い森から出たくて、踵を返した。


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