あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。
「それでいいんだ」
頷いたことを確認すると、腕を乱暴に振り払う。
あたしはその勢いで、ドシャッと地面に座り込んだ。
怖い……。
シュガーよりも、カカオよりも背の高い人に知らず知らずのうちに身体が震える。
この人の美貌は、この世のものとは思えないほど、美しい。
声を聞かなければ、女性か男性なのかすら、わからなくなってしまいそうだ。
中性的な魅惑の美貌。
けれど、紅い瞳と鋭い牙が、美しさを恐怖へと変える。
「あなたは……ヴァンパイア?」
よろよろと立ち上がり、ようやく発せたのは震える声で。
その質問にピクリと、彼の肩は揺れる。
「……出ていけ」
「え、でも……」
「出ていけと言っているんだ。 ……血を吸われたいのか?」
「っっ!」
ヴァンパイアの彼は口角を上げ、その牙を見せつけるようにして冷たく言葉を吐く。
まるで、獲物を見つけた、とでもいうような紅の瞳。
ゾクリと、背筋に冷たいものが走った。