あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。
第三章
08 吸血鬼 アルバート
頭が重い……。
身体も、重くて自由が利かない。
グラグラする……。
ああ、なんだかつい最近にもこの感じ、体験したことある気がする……。
最初の感想がそれだった。
ぼんやりとする視界と頭で、今自分がどうなっているのかわからない。
ただ、ベッドに寝かされているということだけ、理解できた。
目の前に、人影が見える。
誰……?
あなたは……。
「──まお!」
「大丈夫かっ!?」
「──カカオ……シュガー?」
あたしを覗き込んでいたのは、険しい顔をしたカカオと、涙目の人間姿のシュガー。
「あたし……」
「起き上がるな。 身体に力が入らないだろう」
「あ……」
カカオの言う通り、手に力を入れて身体を起こそうとしても、指にさえも力が入らない。