あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。
『無事で、よかった……!』
確かに、カカオはそう言った。
カカオは、まだあたしを強く抱きしめている。
彼の軍服から、柔らかいシトラスの香りが漂ってくる。
なになになに?
何が起こってるの?
助けを求めて横を見ると、シュガーはそっぽを向いていた。
え、シュガー?
シュガーに助けを求めたんだけど、なんで目を合わせてくれないわけ?
そのとき、本人は意識していなかったのであろう意志がほんのりと伝わってくる。
〈なんか、いい雰囲気だし、俺が口出しすることじゃない……。 主の幸せは俺の幸せ! だから見てないことにするぜ〜……〉
ちょっ!
シュガーなに考えて……!
出来もしない口笛なんて吹いてるから、余計に怪しいよっ!
しかもカカオもカカオでなかなか拘束を解いてくれない。
あああ、体温上がってきた気がする……。