あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。
*
「ん……」
うっすらと、あたしは目を開けた。
まだ辺りは薄暗く、カーテンは閉まったままで日も差し込んでいない。
朝じゃないのか……。
でも、身体も頭もすっきりしたかも。
結構寝たからなぁ。
明日から訓練も復帰できそうだし、カカオに感謝しなきゃ……。
そういえば……カカオはどこいった?
あたしが寝たのを見て、帰ったかな。
部屋隣だし。
今頃あの二つの空間に繋がる部屋で公務にしているのだろう。
あたしはゴロンとベッドの中で寝返りを打つ。
あー、この布団あったかい。
いいシトラスの香りもするし、クコがキレイにしてくれたのかな~。
スベスベだし、あったかいし……って、え?
もしかしてこれは……デジャヴュ?
慌てて身体を起こそうとするけど、ガッチリと固められていてピクリとも身動きが取れない。
うわわ!
もう、なんでよ!
そう、あたしはまた、ベッドの中でカカオに抱きしめられていた。
でも、前と違うのは、カカオがあたしにとって他の人とは違うと自覚してること……。