あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。
気持ちが違うだけで、こんなにも違って感じる。
バクバクと心臓は、今にも爆発しちゃいそうなくらいの速さで脈を打ちつづけている。
吐息がっ、カカオの吐息があたしの耳にかかって、くすぐったい。
耳はものすごい熱を持っているだろう。
顔だって真っ赤になってるだろうし……。
しかも、カカオの片腕、腕枕になってるじゃん!
もう片方は、上から押さえ込むようにあたしをギューッと抱きしめて離さない。
確かに、こうやってもらえるなら、嬉しいけど!
本当にこうなったらいいなって妄想したりしましたけど!
けれど、それは二次元だけだって今自覚した!
二次元オタク・恋愛未経験にとって、それがリアルになった途端無理があり過ぎる!
本当に心臓が爆発しそうだ。
というかなんでカカオ、あたしのベッドで寝ちゃうの?
見張りしてたんじゃなかったの? もう!
スヤスヤと眠る、そのいつもより少し幼い寝顔を見つめているとなんとも言えない気持ちになった。
ねえ、なんで?
なんで、カカオはあたしのそばにいてくれたの?
カカオは、「俺の国の魔女」って言ってたけど……本当にそれだけ?
それだけで、王子様が護衛みたいなマネ、してくれるの?
ドクンと、聞いたこともないような音が、耳の奥で鳴った。