あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。
「っっ……!」
やっぱりカカオ、アルバートからあたしを護衛するとかなんとか言っておきながら、本当はこのことを伝えにきてたんだ!
それで言わなかったのはおかしいけど……!
でもクライヴの森でのことで心配かけちゃったのはあたしだし……。
その前に勝手に戦場に行ったのもあたしだしなぁ……。
戦争は昨日起こると決まっていたわけではないから、きっとカカオは昨日の朝には伝えてくれるはずだったのだろう。
そこに運悪くオスガリアの侵略が重なってしまったんだ。
「でも、昨日あんな風に戦ったばかりだし、何も昨日の今日で儀式をやらなくても……」
「昨日あのような戦争が起こったからです」
クコは、低い低い声を発した。
「これより、オスガリアとの戦争は更に激しいものとなるでしょう。 そうなる前に、まお様が一刻も早く〈魔女の証〉に認めてもらい、魔女として活躍出来るようにしていただきたいのでしょう」
クコの言葉が胸に刺さった。
「申し訳ございません、私ももっと早く伝えられればよかったのですが、これは国事の事のため、王子ご本人からお話しされると言われていて……」
クコが頭を下げるので、あたしの方こそ!と思わず立ち上がる。
「……いいの、いいの。 どうやらあたしが悪かったみたいだし……」
ハハ、と乾いた笑い声が漏れた。