あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。
第四章
12 オスガリアの姫
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戦争が起こったから十日。
今回のオスガリアとの戦争で、いままでとは比べものにならないくらいの負傷者が両国に出た。
ウェズリアは傷は治癒魔法でなんとかなるが、治癒を繰り返す〈翡翠〉メンバーたちにも、疲労は見えてきていた。
魔法は、傷は治すことができても、魔力を回復することはできないんだから。
そして、今回のことで変わったことがあるかといえば、オスガリアはとてつもない大打撃を受け、あれからはぱったりと攻撃をしかけなくなっていた。
こっちとしては、正直嬉しい。
軍隊所属の魔術師たちも、今は療養中だ。
しっかり、身体を休めてほしい。
あたしも、あれからはすっかり元気。
なぜか、首筋の傷が消えてたから……。
それに、なんだか不思議な夢を見た気がした。
カカオがあたしの傷跡をキスで治してくれるっていう夢。
そんなこと、ないだろうけどって思うけど、実際傷跡は治ってたんだし、夢なら信じようが信じまいが本人の自由だし、カカオが治してくれたんだってことにしてる。
あんな甘い雰囲気のカカオ、初めてだったんだもん。
忘れたくったって忘れられないよ……。
それに、あたしはカカオに叱られちゃった。
ひとりで無茶して結界張ったのが、バレちゃったみたい。
『また張るなら、必ず俺に言ってからにしろ』
とか、言われちゃったし。
しかも、
『アルバートには気を許すな。 血をあげるなんてもってのほかだ』
とも言われてしまった。
確かに今思えば、あたしはなんてことしちゃったんだろうって思う。
カカオを助けるためとはいえ、血を吸わせたんだから。
我ながら大胆だった……。
あと、倒れちゃってから目が覚めた時、クコがしばらく身の回りのことやってくれてたんだけど、身体を拭いてもらった時、何故かあたしの首もとを見て、顔を赤くして叫んでたんだよね……。
理由を聞いたんだけど、何故かニヤニヤするだけで教えてくれなかったし、首もとだから自分で見ることができなかった。
でも、触った感じじゃ傷跡は治ってたから、なんだったんだろう。
けれど、そんな疑問もすぐに忘れていた。
魔力も充分戻って、今日も特訓に励んでいた。