あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。
そう、クムだ!
地球で言うレモネードで、さっぱりしてて暑い日とかには最高の飲み物なんだよね~!
あたしはゴクゴクと喉を鳴らして飲み、あっという間にグラスをからっぽにしてしまった。
クレアは可愛らしく両手でグラスを持ち、ゆっくり飲んでいる。
「クレアは髪が長いね」
あたしはそんなクレアの髪を触った。
小麦色の髪は、クレアの背中らへんまで伸びている。
毛は細いし、さらさらのストレートヘア。
あたしとは違う……いーなー。
「クレアはどうしてウェズリア軍隊所属魔術師隊に入ったの?」
ふと思いついた疑問。
あたしが問うと同時にクレアはクムを飲み終わり、グラスを置いた。
「……話すととても長くなってしまうのですが……まおさんも知っているとおり、わたしはまだ10歳。 本当は10歳で安定するはずの魔力は9歳になって間もないころに、覚醒しました。 魔法もその時から既に使えるものがいくつかありました。軍隊に入ったのは、国の役に立ちたいというのもあるんですが、魔力を制御するためと……約束でもあるんです」
「“約束”?」
「はい」
クレアは切なそうな顔で、優しく微笑んだ。
その笑顔があまりにもキレイで儚くて……。
あたしはそれ以上なにも言えなかった。