あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。
「……様、カカオ様!」
ぼんやりとしていた頭は、突然現実に引き戻される。
俺の腕にくっついているのは、もちろんローズ姫だ。
俺がほとんどオスガリアに来ているのは、ローズ姫が離してくれないからだ。
「なんですか」
「今日はブルーベリーが庭にあるんです。 一緒に摘みに行きませんか?」
うるうると、わざとらしく上目遣いをして、俺の腕に豊満な胸を押し付けた。
……やめろ。
そう言って、睨みたいけど、敵陣のど真ん中にいる今の俺には拒否権はない。
「……わかりました」
俺はムリヤリ笑顔を浮かべ、頷いた。
断ったら、大惨事になることは目に見えている。
いや、魔力を使えばなんとかなるのだろうが、ここで魔力を使えば、平和協定を結ぶのは、今後とても困難になることだけはわかった。