あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。
「それでは、行きましょう!」
俺が頷くと姫はたちまち嬉しそうな顔をして、執事に合図を送った。
それを見越していたかのように執事は素早い動きで部屋の奥に消え、あらかじめ用意してあったのであろうカゴとツバの大きな麦わら帽子を持ってきた。
普通の麦わら帽子とは違い、ジャラジャラと飾りをつけたその帽子は、本当に光を遮ってくれているのかさえ謎だ。
姫はそれを身につけ、
「行きましょうか」
また俺の腕にくっついた。
俺は必然的にカゴを押し付けられた。
今は夏だ。
……暑い。
顔が引き攣りそうになるのを、必死に堪えた。