あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。





 ボルトが今のこの状況のなかで、唯一頼れる存在だった。


 今日はようやく姫が何か用事があるとかで、いなかったので帰ることを許された。


 久しぶりに、母国でゆっくりできる……。


 まおに、会える……!


 そう思うと、胸がほっこりした。



〈……カカオ? なに変な顔をしている〉

「……なんでもない」




どうやら、口もとがだらしなく緩んでいたらしい。


 それに気づくと、顔に熱が集まった気がした。


 鎖骨のへんがきしきしする。


 でも、イヤじゃない。


 俺は、きっと……。


 気づいているはずだ。


 誰を想っているかなど。
  

 自分が一番。



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