あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。
「なんでもない。 帰ろう」
〈…………〉
まだうたぐり深い目を向けてきたので、俺はムリヤリボルトの背に乗った。
そして、いつもはしないけれど、手綱を締める。
ボルトは、心の中でため息をつくと、風のように駆け出した。
景色が後ろへと流れていき、風が耳もとでびゅうびゅうと唸る。
けれど、それが心地好かった。
イヤなことも、この鋭い風が全てを引き裂き、取り払ってくれるような気がして。
俺はしばらく、その快感に酔いしれながら、帰路へと向かった。